もちもちした犬

おもに日記のようなものを書きます。

10月に飲んだお酒まとめ

早いものでもう10月も終わる。今月初めにはちょっと気温が下がってきて、そのまま寒くなるかと思いきや今日も半袖である。秋口のちょっとヒヤッとする感じ、どこからともなく香るキンモクセイ、そうしたものが大好きなのだが、ここは新竹。巨大な松ぼっくりが車の上にでかい音を立てて落ちてきたり、吹きしきる異常に強い風が木をバキっと折ったりするだけである。

 

前回飲んだものをまとめたのは10月10日なので、今回はそこから今日までの間に新しく飲んだものをまとめた。

 

anthf.hatenablog.jp

 

  • 臺虎

餞男醋女

餞男醋女。化應子は結構むかしに食べたことがあったが、良くも悪くもその味がそのまま酒になっている。確かに台湾らしさがある。地元色の強いものが面白いと思っていられるのも自分が外国人だからかもしれないが、まあ面白いのでいいでしょう。

 

臺虎桃太郎

9.9パーセントシリーズの桃味、Son of a peach。かわいい絵柄とかわいくない度数が特徴のこのシリーズだが、これは結構好き。柑橘系は当然ビールによく合うのでゆずやレモンはまあ美味しかったわけだが、桃味は意外性のあるおいしさといったところか。ちゃんと桃、それでいてビール。だがアルコールっぽさも強く、無理に9.9にしなくてもいいのに……という感じもしなくはない。

 

蘋果乒乓

また9.9パー。これとレモン味(長島啤酒)は結構どこのセブンでも売っている。リンゴ味の当たりはずれは案外大きいのでちょっと警戒していたが、これはさわやかな方のリンゴ味だったのでよかった(リンゴのコンポート的なムワッ♡という感じのリンゴ味はおそらくビールには合わない)。アルコール臭さも低く、グビッと飲める。

 

青甘寶貝

これはなかなか当たりでした。成城石井とかで売ってるアメリカ産の甘いお茶飲料に近い味かも。前回取り上げたほうじ茶×梅酒×ビールのやつもだけど、臺虎のお茶系は割といい。

 

檸檬冬冬

冬瓜茶は、以前台湾に旅行に来た時に飲んだことがあった。その時は割と飲みやすかったと記憶しているのだが、これは結構青臭さとえぐみが強い。後味にはレモンとはちみつの風味もあるが、えぐみが残る。これをフックとして楽しめればまた意見は変わってくるだろうが、わざわざ高い値段で買って飲むにしては…という感想。

 

臺虎は個性が売りのメーカーだが、ペプシペヤングよろしく、奇を衒ったものを出せばいいと思ってるのではないか?と感じるものもある(まあ、私は変な味のものを喜んで買うようなタイプではあるのだが)。ゆえに、ハズレ的なものも多いが、その分好みの味に当たればうれしいものである。

臺虎のウェブサイトをみると、コンビニやスーパーではほぼ見かけないものも多い。酒屋か臺虎のお店?に行けばきっと買えるんだろう。

www.taihubrewing.com

 

  • 柏克金(Buckskin)

十月慶典啤酒

ドイツビールの製法を台湾で再現するBuckskinのオクトーバーフェスト仕様のビール。ミュンヘン風らしいが、その辺のことは詳しくないのでよくわからない。コクが強く、飲みごたえのある一本でした。台湾ではセブン、ファミマ(全家)、OKマート、Hi-Lifeが4大コンビニであるが、Buckskinと臺虎はコンビニの棲み分けをしているような印象がある。セブンは臺虎、Hi-LifeはBuckskinという印象。まあ、いろいろあるのだろう。ちょっと調べておきたい。

 

  • 台灣啤酒

台啤特釀研究室 白色迷霧

まあこれは白ビールであり、要はベルギービール風のあれである。6月頃に出た新商品らしく、スーパーで安く買った。ほかに黒ビールなどもあるようで、このシリーズも気になる。

 

  • 雪山啤酒(BUSCH)

Busch(雪山啤酒)。Buschとは、バドワイザーの製造元であるアンハイザー・ブッシュ社のブッシュである。

バドワイザーというのはチェコの地名から取っているらしいが、アンハイザー・ブッシュ社は当地に無断でその名前を商標化したことから、世界各地で名義の問題を抱えているらしい。そのため、一部の地域ではBuschという名前で売られているのだという。ところで、台湾のコンビニにはバドワイザーはほぼ必ずおいてある。しかし、このBuschもまた置かれているのだ。値段はBuschのほうがちょっと安めだったと記憶している。このBusch、製造地は大陸である。しかし大陸のほうでもバドワイザーバドワイザー名義で売られているようなのだが。この裏にもいろいろ複雑な事情があるのかもしれない。

 

  • 付記

鹽酥雞のお店は台湾の各地に存在する。夕方から夜中まで営業していることが多い。私がよく飲酒している公園の近くにも3軒ほどあり、ビールと一緒に食べれば最高。

鶏肉、てんぷら(練り物)などのほかに、トウモロコシやポテト、さつまいも、ししとう?などの野菜もある。味付けはコショウとにんにくが強い。冷静に考えればこんなのを夜に食べていいはずがないのだが、たまに食べる分には気持ちがよい。

鹽酥雞自体の歴史はそう長くはないだろうが、滷味攤と同様に自分で選んだものを揚げてもらうというシステムは単純なので開業しやすいという面もあるだろう。ノウハウを学んで日本でも開業すれば一発当てられるかもしれない。

そんなことを考えていると、韓国の「チキン屋」の図が脳裏をかすめたのであった。

 

 

 

 

雑記

台湾に慣れたかと言うとそうでもない。日々は単調に過ぎていき、なんだか恐ろしくなる。語学力が向上しただとか調査地が見つかったとかはっきりした進捗はないままである。いや、少しずつ動いてはいるのだが。

電車やバスは極端に安いので苗栗、桃園、台北などには気軽に行けるし、ある程度土地勘らしいものも身についたかもしれない。しかし、さすがに東側や南部、離島にはまだ行けていない。あと台湾のバスは怖い。

日々の楽しみはそんなにない。酒を飲むか飯を食うかくらいだ。電車やバスですぐ帰って来れる範囲を見て回るのも楽しかったが、近場で面白そうなところはもうある程度行ったので飽きつつある。飯にしても、金がないので大学の店やカルフール(大型スーパー)のパンなどをよく食べている。物価はやはり高い。というか円がおかしいのだが。どう見ても安物しか置いてなさそうな雑貨店でも、円安のせいで値段は日本の倍くらいになる。マグカップとか箸とかそんなのは日本だと百均で買えばいいのだが、今2、30TWD程度でそんなものが売っていることはほぼない。

飯を食うにも、注文の仕方も様々である。入って席についてから紙に書いて出す、店の前で買って奥で食べる、先に支払うか後に支払うか、などなどわからないことは多い。滷味や自助餐なんかも勝手がわかりにくいことが多いので、実はあまり食べてない。Googleマップの情報を見たり、ほかの人がどう注文するかを観察しなんとなく真似ることでこなす。

言葉がうまく通じずに困ることは多い。もともと「松屋は食券制だから声を出さないで飯が食えていい」というサイドの人間だったのだから余計にそうである。しかし、酔っ払って外のコンビニを渡り歩いた時は、レジのおばちゃんと雑談もしてしまった。発話してしまえばどうでもなることもあるだろうが、ハードルは高い。

沖縄やマリアナで調査した時はよくやったものだと思う。実際話しかけて変な顔をされたり肝心なことを聞き忘れたりはしたが。

こうやって大学にいるのも、実際よくない。さっさと外に行くべきなのだ。放り出されてもがくことをしない限りは泳げるようにならない。

 

京都で見た留学生らしい人々の姿を思い出す。百万遍のダイコクで見切り品のようなお菓子ばかりたくさん買っていた人。おくだで注文を聞き取ってもらえずおばちゃんに「え?」と3回くらい聞き返されていた人。彼らは私である。

 

 

 

 

9月~飲んだコンビニ酒まとめ


台湾にきて1か月くらいになる。まあ、1週間はホテルに閉じ込められていたが。

今回はこの短い間に台湾で買ったビールなどを簡単にまとめる。自分はもともとビールよりチューハイが好きだが、台湾のコンビニのラインナップはビール中心である。

台湾のコンビニには、外国産のビールが多く並んでいる。ドイツ、オランダ、アメリカ、タイ、韓国などなど。日本のものも多いが、特にオリオンのものが目に付く。オリオンのなかでも沖縄限定品である75BEER(これは沖縄で飲んだが結構うまい)など、珍しい商品まで置いているのだ。とはいえ、まあせっかく台湾に来ているんだから、舶来品より地のものをまず飲んでみることにする。

  • 台湾ビール

台湾ビール。日本では、瓶入りの「金牌」ばかりを見かける。カルディとかでたまーにフルーツ味(水果)のやつも見かけるが、どうも割高感がぬぐえない。やはり台湾で買うと安い。40NTD前後で買える。とはいえ円安のせいで昔ほど安いものではない。ほかのビールよりは安い、という点でありがたみはあるが。

ほかには、スタンダードの「經典(クラシック)」もある。個人的にはクラシックのほうが金牌より飲みやすくて好き。安いし。

 

「向陽 IGA」。イタリアングレープエール、らしい。

限定品として、こうした「特醸」シリーズがある。これらはクラフトビール的なもので、値段も倍くらいする。

IGAはアルコール度数が高く、きりっとした味わいだが、それでいてフルーティさがあるため飲みやすい。NEIPAは柑橘~~!!という味が主張するタイプのクラフトビールで、華やかな味わい。いずれもクオリティの高いものなので、機会があれば飲んでみてほしい。特醸シリーズはまだまだあるようだが、近所のコンビニではこの2つばかり見かける。

  • 臺虎精釀(Taihu Brewing)

臺虎(タイフー)は、オシャレな感じのクラフトビール・お酒を造る、比較的新しいメーカー。どれもやはり高めで、ロング缶だと99NTD(現在のレートで453円くらい)くらいのものが多い。普段リカマンとかやまやとかで輸入ビール漁る感覚でいけば妥当な線ではあるが、むろん日本で売られればもっと高くなるはずだ。

自分はなるべく安く手頃に酔いたいという考えのもとで、ロング缶のチューハイをよく飲んでいた。そのため、ビアカクテルなんかは無駄に高くて苦いだけだ、という偏見(というか貧乏人特有のゆがんだ感性)を持っていた。

だが、臺虎はその妙味を理解(わか)らせてくれた。

 

焙茶梅啤酒」梅酒×ほうじ茶×ビール。変なの~というのが第一印象であった。CHOYAと書いているし、静岡のお茶を使っているらしいが、日本でこんな変な飲み物みたことないぞ。

飲んでみると、やはり変な味。ビールである必要はねえだろ、と思った。しかし、飲み進めるうちにええやんええやんとなる。飲み終えたころには美味しかったような気がしていた。清涼感が残暑の台湾にぴったりの一本。

 

 

青梅竹馬」は、「竹馬の友」と同じように幼馴染をさすが、特に男女のことをさすようだ。それはそうと、缶のデザインのポップさ。サブカルや「文青(文學青年)」みたいな層には確実にウケそう。台湾らしさを出したこういうフレーバーは得意とするところであろう。

 

熱虎旺旺來 鳳梨酒」これはビールではなくパインのお酒。「テパチェ」はメキシコの国民的な飲み物らしい。さとうきびとパインを発酵させた酒らしく欧米でそれなりに流行ってるらしい。知らんけど。酸味が強くてまぶたがぴくぴくするが、非常に濃厚なパインの味がする。

 

 

臺虎添柚臺灣」GOD BLESS YUZU。名前は「天佑」とかけているのは言うまでもないだろう。トレードマークのひょうたん虎がかわいらしいパッケージ。9.9パーセントの強いビールだ。ゆずの果汁の香味はもちろん、白いわたの部分みたいな、あの苦みがある。柑橘系のビールは飲みやすいが、これも9パー超えていてなおまろやかな飲み口ですごい。値段が安かったら2本くらい買っていたところだ。

 

臺虎長島冰啤」LONG ISLAND ICED BEERも9.9パーのバカビールである。このシリーズはほかにもあるが、この2本はよく見る。どっちかというとゆずのほうが好みだけど、これも悪くはない。

 

このシリーズの缶にはご丁寧に飲み方の指南がついている。コップも氷もねえのでそのままいかせてもらう。

ところで、台湾ではビールに氷を入れることも結構あるようだ。隔離ホテルでビールを注文した時にもカップに氷が入って出てきたので面食らった。冷えているものを避ける傾向の名残なんだろう。しかしながら、このシリーズに関してはロックで飲むのも悪くないかもしれない。

 

  • その他

雑に括る。

台湾キリンビールのオリジナルブランドの「BAR BEER」。安物の第3のビールみたいな見た目なのでどうせ安物だろと思っていたが、ちゃんとしたビールでした。飲食店でもこれを出しているのは結構見かけた。すっきりした味で、よく言えば飲みやすく、悪く言えば印象に残らない。一番搾りみたいな味ではない。

ブレまくり

BUCKSKIN(柏克金)の「夏日沁香啤酒」。8月までの夏限定だったらしいが売れ残りがあったので買えた。見た目の通り、柑橘系の香りが強い、上品なビール。しかし、この柑橘っぽさはMandarina Bavariaというホップが使われていることによるものらしい。結構飲みごたえがあった。

Buckskinは、ドイツ風のビールを作る台湾のメーカーらしい。日本にも製品を展開しているようで、ホームページもでてきた。ここもいろいろ出しているので、見つけたら飲んでいく。

冰火(ビンフォ)」のレモン味。ウォッカベースのカクテルみたいなやつ。スミノフアイスとかZIMAみたいな枠の商品で、それらよりもよく売っている。味的には見ためでイメージしたまんまの感じ。アルコール度数も低く飲みやすい。ほかにはブドウ味、シャンパン味などもあるようだ。

 

 

以上、9月~今日までの間に飲んだ酒のまとめである。個人的には臺虎を知ったのは収穫であった。おいしいクラフトビールは結構充実しているので、いろいろ飲んでいこうと思う。

まあ安くチューハイが買えればそれを買いたいが、台湾はやはりビールがメインのようだ。発泡酒や第3のビールみたいなのもほぼ見かけない。酒だと白酒とかももちろんあるわけだが、そういうのはキツい。

外の店で飲むよりコンビニでちょっと高めのやつを買うほうが安く上がる(ような気がする)のでそうしているが、新竹のはずれにある大学周辺だとそもそも飲める店があまりないという問題がある。大学付近のコンビニで買って、道々飲みながら帰ってくるのである。あまり良い行動とは言えないが、日本でもよくやっていたことではある。

 

 

 

台北

この前、何年振りかに台北に行った(まあ実は昨日もちょっと買い物にいったのだが)。

台北の人口密度は世界的に高いことが知られているが、そんななかにあって総統府や自由広場のあたりの道のだだっぴろさよ。権力そのものである。

新竹市から台北はバスで110元だった。1時間半ほどかかる。車窓からは、建物の上にでかい仏像?があるビルが見えたり、山にぽつんと立つ墓が見えたりするので意外と面白い。

台北轉運站(バスターミナル)の雰囲気は、バスタ新宿なんかよりは博多駅の横のバスターミナルを思い起こさせた。さて、特に目的もなく来たのでどうするか。

まず台北地下街を散策した。オタクと「新住民」のための店があるエリアという感がある。インドネシア料理の店や雑貨が並ぶ一方で、別の方向には日本風のメイドカフェなどもある。オタクゾーンは漫画やおもちゃ、ゲーセンなどがあり、日本のものも多く揃っている(ただし値段は倍くらいする)。中国語版のジョジョを一冊買った。

『死刑執行中逃獄進行中』(原題:『死刑執行中脱獄進行中』)

ごはんは食べ損ねたが、気まぐれでそのまま国家図書館にいくことにした。国家図書館はでかい図書館で、台湾中の博論や修論も収められている。いずれ研究関係で必要なものを読みに行く必要があるので、利用登録をしに行こうと思う。

国家図書館に行くために、台大医院前で下車。駅のそばに「二二八紀念館」があるではないか。二二八事件は、1947年の2月28日に、闇たばこを売る女性を警官が拳銃で殴打したことに端を発する一連の事件で、台湾の白色テロ時代のはじまりにあたる。この紀念館は、もとは放送局として使われており、二二八事件発生時にはここを占拠した人々が全国に事件の発生を伝え、決起を促したという。2011年にここを紀念館とすることが決まったそうだ。

入館料はどこで払うんですか、と施設の人に尋ねたら、この日は入館が無料だということを教えてもらった。中国語が下手だからか、すぐ日本人だとばれた。日本語のパンフもあり、展示物にもところどころ日本語の説明がついていた。

外観

日本統治時代を含む、詳細な背景と経緯が展示されており大変充実していた。白色テロの犠牲となった人々の遺品や功績も記されていた。その中には三高や京大で学んだ人もいた。一気に身近な人間のような気がしてしまう。彼らは吉田でどのような学生時代を過ごしたのだろうか。

各地で軍に抵抗し武装した人々。まだ20そこらの年齢で突撃隊長などとして死んでいった若者。基隆の港での虐殺などなど。台湾の近代史は、とにかく暗澹たる気持ちになる。それに、日本の右の人々は、このあたりのことを日本の植民地支配肯定言説に組み込んでしまうのである。

鄭南榕

2階の展示の最後に、鄭南榕の首像があった。彼は民主化運動(党外運動)の代表的な活動家の一人であり、戒厳令下で二二八被害者救済を訴えた人物でもある。焼身自殺という衝撃的な最期を迎えたが、その後の民主化への貢献はきわめて大きいだろう。


www.youtube.com

鄭南榕の映像に、台湾独立を掲げる政党「時代力量」の人がやってるバンドの曲が合わせてある動画。「時代」は鄭南榕の出版した雑誌タイトルに共通する語でもある。

 

さて、そこからちょっと歩くと国家図書館があるのだが、そのむかいには「自由広場」がある。蒋介石が祀られているでっかい広場である。台北のランドマーク的な場所だ。

!?

ジョーマローンvs蒋介石

ちわ~

遠目に観たことはあったが、やはりバカでかい。「人類的救星」だからしかたないか。1階から建物に入る。

いるじゃん

まず蒋介石の人形と彼の執務室の複製が目を引く。彼の功績や外国の元首との交流の記録、服や車など使用したものなどが展示されていた。

一方、その向かいには台湾での民主化運動に関する展示も。

彭明敏、鄭南榕、陳水扁などなど、民主化運動の歴史と運動にかかわった個々人の紹介がつまびらかになされる。

こうした展示が常設されているのも、今が民進党政権だからというのもあるかもしれないが、バランスのとり方として興味深い。結局名称は「中正紀念堂」に戻ってはいるが、その実、権威主義体制の総括という役割が大きい施設になっている。

 

さて、図書館の登録をしたものの、勝手がわからずすぐに退館する。ふらっと萬華の龍山寺まで移動。周辺の夜市を散策した。

龍山寺

むかし来た時もこのへんでごはんを食べたりしたっけな、と思っていたら西成のような路上蚤の市が出現。はじめてみたぞ。

なんでもあり

ラインナップはひどいもので、中古の服や靴、よくわからない石、さらにはコピー品のAV、偽バイアグラなども。香港の深水埗で見たどろぼう市を思い出したが、扱っているもののガラクタ度合いでは西成に近い。なにかいいものでもあれば買おうと思ったが、特にめぼしいものもない。

ただ日本の競走馬ぬいぐるみを売っていたおじさんがいたのはおもしろかった。ビワハヤヒデトウカイテイオーなど、90年代前半の馬のぬいぐるみをいくつも並べていた。最近ウマ娘のおかげかそのへんのぬいぐるみもたくさん売られるようになったが、このおっさんのものは当時モノだろう。めちゃくちゃボロくてばっちいのだ。それに馬の写真かブロマイドのようなものまで売っていた。中央競馬のおたくなんだろうと思う。

そのあとは適当にバスに乗って帰った。

台北は思ったよりは近いが、それほど近くもない。日本語の多いこの街は、ちょっと安心感を覚えてしまうが、これは植民者的でもある。


 

 

 

 

 

日記と備忘録

日記を書いてなかった期間のことをとりあえず書いておく。自分のためのメモです。

 

9月13日(隔離の最終日)になり、突然「明日はホテルから大学まで車とってあるし、金は自腹でやれよ」と大学から連絡があった。明日はどのバスに乗ってどこまで電車に乗って……と計画を練っていたのにまさかのタクシーである。結構距離があるのに自腹ってさすがにどうなのと思ったが、むこうは厚意でやっているのだろう。ただ運賃は倍どころではない。それにそういうことは早く言ってほしいものだ。

 

翌14日朝、チェックアウトすると、同じホテルで隔離されていた交換留学生と一緒にバンに乗っていくことになっていたことがわかった。運賃は人数で割ることになり少し安心した。フランス人が2人、ロシア人が1人、インドネシア人が1人、そして自分である。フランス人のひとりは華人で、口語はとてもうまいように見えたが、読み書きはあまりできないと言っていた。ほかは英語がメインである。

正直寝ていたかったのだが、自分を挟んで両隣の人が人に話を振るタイプの会話好きで参った。英語が苦手なのもあるが、それ以前に会話が苦手である。みんな20ちょうどくらいの若者だったが、自分も若く見られていたらしく、年齢を言ったらびっくりされた。まあアジア人は若く見えるのだろう。しかし馬齢を重ねすぎた。

なんやかんや大学に到着すると、運転手が「どこに行けばええんや!」と言い出す。スマホを差し出しメールを見せると、スマホを奪って運転手がどこかに行ってしまった。

どうもその辺の人に聞きに行ったらしく、戻って来てスマホを返してくれた。そのまま発車したので解決したかと思いきや、停車し歩いている学生を捕まえ、「あんたこの寮の行き方はわかるか?道おしえてや なんならそのへんまで乗せていくし」という具合に、なんと助手席に学生を乗せて道案内をさせるのだった。ワイルド。その人も寮の学生だったのでまあよかったのだが、このまま寮の事務所みたいなところまで付き添ってくれたのはちょっと申し訳なかった。

その後、むこうの留学生担当のボランティア学生がやってきて、部屋の鍵や施設の案内をしてくれた。だたっ広いキャンパス内を案内してもらったが、めちゃくちゃ疲れた以外のことはあまり覚えていない。布団やなんやかんやを買ったり支払ったりを済ませ、部屋に戻る。同室は大陸からの学生で、今年から入ったM1らしかった。いい人そうでよかった。寮はけっこうばっちい。エアコンはプリペイドカードをさしてつかうようになっているのだが、2人部屋でこういうのにすると諍いの種になるのではないか。この大学は結構金があるらしいが、こういうところをケチらないでほしい。

また、部屋のネットに月200台湾ドルを取られるしくみらしいが、有線ランのみだったのでケーブルや変換プラグを後日買うことになった。Wi-Fiはない。案内してくれた学生は、スマホテザリングしてPCを使うと言っていた。これもケータイ文化の違いなのだろうか。自分は上限なしのプリペイドカードだから当面はそれで構わないが。

 

15日、とりあえず入れていた語学の授業に出席する。もともとこの大学の学部に入学していた日本人が中心のクラスでかなりのアウェー感。しかも、自分がとてつもない勘違いをしていたことが発覚した。HSK漢語水平考試、中国の中国語試験)のHPにあるCEFR対照表では、自分の持っているHSK5級はC1となっており、これを鵜吞みにして上級にしたのだが、TOCFL(華語文能力測驗、台湾のやつ)のHPを見るとHSK5級はCEFRのB1に当たるものだとされていた。もちろんここは台湾なのでこちらに準じており、自分は上級ではなく中級くらいというわけだ。

上がHSK、下がTOCFLのHPの対照表

実際、自分でもこんなのでC1なわけないよな~とは思っていたが、ここまで差があるとはね。が、とりあえず一番最初の授業だし最後まで出た。

まあ話している内容は6,7割くらいしかわからなかった。話すスピードが速すぎた。その場で応答するのも難しかった。中国語は某スパイ機関の少人数オンライン以外ほぼ独学なので、こういうのは慣れていないのである。厳しい。よって違う講義に変更する。

また、一応交換留学でも受け入れ教員というものがあるので、先生に連絡をしたのだが全然返事がこない。今日(19日)までに3通送っている。来る前には返事も来ていたのでメアドを弾かれているというわけではないと思うのだが……。HPにはオフィスアワーには事前にアポを取ってから来るようにとあるので、直接押しかけるのも遠慮していたがもうそろそろやばいので明日か明後日くらいに様子を見てくる必要がある。

夜にはとりあえず市の中心部まで歩いていき、何をするでもなく戻ってきた。大学の近所に調査対象にしようと思っていた廟があったのだが、ここがなんと臨時閉鎖していた。

なんとコロナで閉鎖している

こうなっては参与観察も聞き取りもかなり難しい。どうすっぺ。

 

16日は崎頂に行った。これはブログに書いた。

anthf.hatenablog.jp

17日は台北に行った。バスで行くと結構時間がかかる。感覚としてはちょうど京都から神戸くらい。ただ終バスも結構遅いようなので、案外遊びに行くのも悪くないのかもしれない。二二八紀念館や中正紀念堂を見たほか、国家図書館の利用者登録をした。あとは地下街や夜市を散策。この辺はまた別個ブログ記事を書いてもいいかもしれない。

 

18日。中壢と苗栗に行った。中壢から慈湖まで行こうと思っていたが、面倒になったのでやめた。勘で電車に乗って苗栗まで南下したが、何をするでもなく大型スーパーのカルフールで買い物をし、戻ってきた。佛跳墻の冷凍食品がありそそられたが、寮には冷蔵庫も食器もないのでやめた。

高鐡の苗栗は以前行ったことがあり、その近くの客家の円楼みたいな博物館がとてもよかったのを記憶している。しかし台鉄の苗栗の周辺は面白いものはとくになかった。たぶん5キロくらいは歩き回ったと思う。

あれだけの地震があったのに自分は全然気が付かなかった。アイラックからの安全確認やメールも来たためちょっとデカい地震があったのかなくらいには思っていたが、電車が1時間以上遅れていたことでようやくやばい地震だったのだなと認識する。友人や親などからも心配の連絡をもらっていた。SNS地震の様子を検索するとすごいことになっていた。

思えば台湾の建物は日本の比ではなくボロいものが多い。廃墟ビルが放置されていたり、ゴミ屋敷のようになった雑居ビルが火事になって大勢が死んだり、という事件も結構ある。自分の寮はさすがに揺れで三豊百貨店になるほどではないと思いたいが……。

 

19日。大学が義務として課している健康診断に行く。金をとられる。よくわからないなりにハイハイ言ってたら終わった。しかし手間である。別のキャンパスの図書館に行き、本を借りるなどした。明日は華語の授業を入れているが、終わったらどこか遠くに行きたい気持ちはある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崎頂~新竹城隍廟

 

やはり授業を取るのは嫌なものである。博士課程なので別に取る義務は一切ないのだが、語学の問題もあるのでとりあえずは華語の講義を受講することにした。

授業の何が嫌かというと、周りのわいわいした空気かもしれないし、当てられて間違えたくないというアレかもしれない。もともとこういうのが嫌で変にフィールド志向になったような気がするが、そうであれば人間を相手にする必要がある人類学を選んだのは大きな誤算である。

 

昨日今日は、とりあえず土地勘を得るために周辺を歩き回った。1日に10キロくらい歩いたので結構キツい。まあ、ようやく台湾に来た実感がわくというものだ。

今日は午前中に市内中心部にでてきた。用事を済ませたので、まったく知らない駅までの切符を買い、電車に乗った。

新竹火車

台湾ドルが高くなり食料品、日用品の値段が普通に日本と同じ水準に近くなっているが、電車代やバス代はまだ断然安いと感じる。今回は新竹から南に行った「崎頂」という駅まで行った。

でんちゃ

昼前の各駅には老人しか乗っていなかった。車窓からの景色も特に変わったものがあるでもないが、匿名的な台湾らしさを感じさせる風景が続いた。

20分ほどで崎頂に着いた。ここを選んだのは、とりあえず海が見えそうだったからだ。

すぐ裏は山

何があるかろくに調べていなかったが、駅の近くには「子母隧道」と呼ばれる日本植民地時代のトンネルがあった。子母というのは、2つのトンネルがあるので親子というわけだ。昔はこっちを鉄道が走っていたらしいが、今はそれより海側に移っている。

千と千尋~』を思い出す

まあこのような古臭いトンネルは日本国内でも怪談スポットになりがちだが、ググったらやはり心霊スポット的なネタになっていた。とりあえず通ってみる。

暗くてひんやり

どっちが母でどっちが子かはよくわからないが、思ったより長く、中央まで来ると昼間でも足元が見えないほどの暗さだ。これを抜けるとタイムスリップしたり変な世界に入って二度と戻れなくなったり……と妄想が膨らむが、トンネルを抜けると、声のデカいおばさん軍団がワイワイと写真撮影をしており、すべてがかき消された。

トンネル2つを抜けたらこういう入口があり、駐車場もあった。自分のように駅側から来る人はあまりいないのかもしれない。引き返しつつ山側に上ると、展望台(というか要はあずまや)があり、海辺の巨大風車の群れと鉄道を見ることができた。

よく見ると風車がいっぱいあるんですよ

いい景色

さらに海辺のほうにいくとフォトスポット?というか名勝地?があるらしかったが、農家の庭先に迷い込んでしまったので引き返した。太陽からの逃げ場がないアホみたいなアスファルト道を歩き、汗まみれさん太郎になった。

 

周辺にはごはんを食べる店もほぼないので(1つあったが店の人は休憩していた)、もとの新竹に帰った。駅前からずっと歩いていくと城隍廟がある。大きな廟だが、その敷地内に市場のような空間がセットになっており、大変活気がある。

駅からは思ったより離れていた

この中にある、「柳家」の肉燥飯(a.k.a.滷肉飯)。当然おいしい。パクチーいれるか聞かれたのでとりあえず入れてもらったが、悪くはない。

この周辺の街並みも、とても味わいがあったので散歩しがいがある。

ひさしのようになった空間が続く騎楼。レンガがいい味わいを醸す。

建物のカーブに見惚れる

こういう角にある家のカーブも美しい。見ていてうれしくなる。だが、ぼやっとしていると原付に轢かれるので写真もおちおち撮ってられない。

そのあとは大学に戻り、いろいろ作業をしたり資料探しをしたりしていた。

 

隔離期間含めて、台湾にきてまだ10日くらいだがもう日本が恋しくなっている。晩飯にはセブンで売っているハウスのジャワカレーを食べた。

パックを開けた瞬間に、家で作るカレーのにおいが鼻腔を刺激する。失われたプルーストマドレーヌ的に、謎の郷愁が一気にこみ上げた(ちなみに自分は昔「スワン家のほうへ」で挫折したまま読んでいない)。冗談抜きに泣きそうになった。焦りもある一方、早く帰りたい気持ちもすでに大きくなりはじめているのだった。コンビニのカレーに感動する日もある。

 

 

 

続・隔離の話

今日は隔離6日目で、明日が7日目である。明後日にはチェックアウトして、いよいよ大学に向かうことになる。

入国者に対する隔離と自主検疫は、ホテル業界の利権とズブズブで継続しているものだろう。ひどく高い値段で隔離させるわりに、外出の管理もザルである。やる気あんのか?という気持ちにもなる。飯は安っぽくてまずいものが多くなってきて、もういちいち書くのも飽きたのでやめる。

―――

隔離4日目、自主検疫期間になったので必需品の買い物などでの外出はOKとのことであった。フロントに連絡したところ、抗原検査キットの写真と外出の予定時間などを提出させられ、案外あっさり外出できたのだった。

鼻に突っ込むやつをアレしてアレするとこうなる

一応、不要不急の外出は避けないといけない。声を出さず、まっすぐ近所のコンビニに行き、食料品を買ってすぐ戻ってきた。

台湾の車とかバイクはめちゃくちゃに運転が荒い。原付も歩道を走ったりするから怖い。中秋節の休みだからか、軒先ではバーベキューをする人々が大勢見られた。

関帝

ホテルの横にあったプレハブみたいな廟。関羽関帝)を祀っているようだった。シャッターが閉まっていて中身は見えなかった。また、近所にはインドネシアベトナムの人の店が多い。「外労」の人々だろうか。

短時間ではあったが、外を歩いたことで台湾にいる実感がわいた。道路では、食べ物屋のにおい、お香のにおい、ごみやドブのにおい、排ガス、これらが混じりあったにおいがムワッとした熱気に乗って漂う。自分の思っている「台湾のにおい」とは、もしかするとこれかもしれない。生活がにじみ出ているにおいだ。